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折戸マリーナ
日付 2005年5月3日(火)

天気 曇り
風向 東寄り 風力 4〜5 波高 1.0〜2.0
行先 折戸マリーナ
出港時刻 ---- 帰港時刻(寄港)----
乗員 2名


先月中に船底塗装とエンジンメンテナンスを終えている。いつもお世話になっているケーンボートの石井さんに艇全体もみてもらった。マストトップもリギン関係も問題なしだった。

艤装して出航準備。

初夏の安良里
新緑だ
ジャックライン。ハーネス、ライジャケを装備する。

出航。 今日は駿河湾を横断して清水の折戸マリーナに行こうと思っている。

いつも使っていたGPSが、家の引っ越しのどさくさでどこに行ったかわからなくなってしまった。スペアのGPSを使おうと思ったら、壊れていた。衛星を補足しないのだ。

清水港には、以前に一度行っているので、だいたいの雰囲気はわかっていると思う。たぶん大丈夫だろう。しかし、そういう中途半端な情報がミスの元になることは多い。記憶ではなく、コンパスを確実にチェックして、チャートから地形を読んで地紋航法を心がける。

事故は、吸い込まれるようにミスの連鎖が一つの方向に向かって流れるときに起こる。このミスの連鎖が事故と手前のどこかで切れれば事故には至らない。気づけ、俺。

とはいえ、駿河湾内だ。陸が見えてコンパスがあればなんとかなる。ハンドベアリングコンパスだって積んでいる。

今日ははっきり見えないが、巨大なランドマークとして富士山もあるし。位置をロストして安良里に戻ることにしても駿河湾東岸の伊豆半島に取り付けば、あとは見慣れた地形だ。

安良里港を出て、船尾の延長上に弁天島を141度に見て、進路を321度にすれば、清水港の入り口の赤灯台に着くはず。潮流があるのでぴったりには行かないだろうが、おおむね清水港にはとりつけるだろう。距離もたいしたことないので、誤差が積もったところでたかがしれている。

オーパイもあるし。

出港してしばらくしてから、女房が家で作ってきたおにぎりを食べる。家で作ってきたものをフネで食べれば、必ず家に帰れるという女房のまじないである。千と千尋だな。

駿河湾の真ん中くらいを過ぎたあたりで、折戸マリーナに連絡を入れる。今日のバースの予約をお願いする。

風が上がってきた。天気予報とは違う展開だ。だいぶ白波がたっている。北西方向からコンスタントにしっかりした風が入っている。ワンポン入れる。

伊豆がだんだん遠く霞んでいく。帰りのために、山の形を確認する。あの2つの山がMの字のようなところの右側が安良里だ。

流れ藻が多い。この季節はしょうがない。

藻はしょうがないとしても、本当にイヤなのは、スーパーのポリ袋だ。こいつが本当にイヤだ。ちょうどペラのあたりの水深でただよってるやつ。これはホントにイヤ。

アビームリーチくらいの方向なので、風はそれほど強くは感じないが、うねりの方向と合ってないようで、悪い波がたっている。清水港に近づくにつれて、波はどんどん悪くなる。洗濯機だ。あとで聞けば、強風波浪注意報が出たんだと。

天気が曇りなので、海面が灰色だ。そのせいで余計に悪天候に感じる。

三保の松原、タンク、クレーンなどが見えてきた。さらに赤灯台も見えてきた。

港内に入るとさすがに波はおだやかになった。

清水港の最奥、折戸を目指して進む。

清港マリーナあたりで、折戸マリーナに電話して指示をもらう。

メインセールダウン。

貯木場に入ると波がまったくなくなった。まるで舗装道路を走るように揺れが全くない。

貯木場は、コンクリートの大きなキノコのようなものが海面に整然と並んでいる。材木を係留しておくためのもののようだ。

係留策を準備する。

マリーナに入ると、係の人が手を振って、係留場所を指示してくれた。

係留場所として指定されたバースに入ると、係の人の指図であれよあれよという間に船は固められた。

ライジャケ、ハーネスをはずして事務所に挨拶に行く。設備の使い方の説明を受け、ゲストキーを借り、お金を払う。リベッチオは1泊2,500円。

温水シャワーが24時間使えるのがうれしい。

トイレに行って、ビールを買ってフネに戻る。

折戸マリーナの浮き桟橋
外は吹いていたが、ここは別天地のようだ。穏やかな風。静かな水面。

燃料計の針が残り四分の一を指しているので帰りが心配。給油することに。

軽油を買いたいとマリーナ事務所に行ったら、クルマで給油場所までつれてってくれた。15L買う。大型船ならこのポンツーンまでフネを回すんだろうが、唐草はポリタンで十分である。

フネに戻って、給油。ほぼピッタリ満タン。

ポンツーンの水道を使って、清水タンクも満タンにする。清水タンクは一度カラにしてから満タンにした。ついでにポリタンにも水を入れる。便利だ。さすがマリーナだ。

安良里からも近いし、補給がてら来るのもいいかも。少し荒れたときの練習航海には最適だと思う。最悪はマリーナにあずけて帰れるし。もちろんお金はかかるが、それは自分の腕とリスクとサラリーマンとしてのスケジュールの兼ね合いだ。

一段落して昼寝。

夕方5時頃起きて、マリーナで教わった食事どころに行く。学生向けの定食屋といった感じの店。そこでビールと桜えびのかき揚げを頼む。駿河湾の桜えびは私の大好物である。

店のテレビで、静岡の草薙で県警のヘリが墜落したというニュースをやっていた。まだ詳細が不明らしいが、中継のアナウンサー興奮しすぎ。煽っている。ああいう口調はよくない。しゃべりが仕事の人があれでいいのか、と少しビールが回った頭で憤る。ははは。居酒屋で酔っぱらったサラリーマンだね。そのうち天下国家を語りだすね。迷惑オヤジ。

店を出て、貯木場の写真を撮り、ドラッグストアで買い物してマリーナに戻りシャワーを浴びる。

貯木場
貯木場
フネに戻って、パジャマに着替えて寝る。 少し風が上がったかな。小さな波がハルをたたく。







日付 2005年5月4日(水)

天気 晴れ
風向 北北東〜東北東 風力 2〜4 波高 1.0〜2.0
行先 折戸マリーナより帰港
出港時刻 ---- 帰港時刻(寄港)----
乗員 2名


夜中に何度か目が覚めた。フネでは朝まで熟睡というのがないように思う。ウトウトしながら寝るのがフネでの睡眠と割り切って楽しむしかない。非日常を楽しむのだ。

明るくなったので起きる。

ラジオの天気予報では北東の風が少し強いようなことを言っている。やだな。上りだ。でも天気が良さそうなので、同じ風速でも荒れた感じにはならないと思う。

まあゆっくり帰ろう。上りだとしても5時間もみておけば大丈夫だろう。勝手知ったる安良里沖に帰るんだし。

折戸マリーナの朝
9時半頃事務所に挨拶に行く。

今日は上りで風も吹きそうなのでカッパを着る、といっても下だけだ。濡れたデッキに腰掛けることになると思われるからだ。

ライジャケを着て、ハーネスを装着。

離岸の段取りを女房と打ち合わせ。

ポンツーンから離れる。と水路に大型パワーボートが入ってきていた。もうこちらも引き返せない。そのまま水路に入って進む。パワーボートは少し減速したようだ。すまんです。帽子を取ってお辞儀をした。

貯木場は例のコンクリートのキノコ状のものたがくさんあるので、貯木場を出てからセールアップする。

念のためツーポン入れてセールアップ。風が弱ければ、リーフを解いてセールを大きくすればいい。

港の出口に近づくにつれて風が上がってきた。でもツーポンだとアンダーパワーかな。

港を出て、ヘッドセールもリーフした状態で展開する。エンジンカット。

アンダーパワーだ。ワンポンに広げる。ヘッドセールもそれに合わせて広げる。

おおぉ。快調快調。

問題は安良里の方向から風が吹いてくることだ。クロースホールドでだいたい土肥の北あたり狙いかな。でも、快調なのでこのまま行くことにする。

風上側に2人でヒールをつぶす。といっても、ハイクアウトまではしない。小型艇なので、風上側に2人乗るだけでもけっこういい感じ。

快調快調。天気はいいし、風もいいし。最高だ。惜しむらくはもう少し風が左に回ってくれるといいんだが。

願い通じず。風は右に回ってきた。

しょうがない、トラベラーも使ってめいっぱいクローズまで上るか。

角度はよくなったが、艇速は落ちた。でも風速が上がったように感じる。

デッキに波は打ち込んでくる。カッパ着ててよかった。

しばらく舵を持っていたが、怠け心がもたげてきて機帆走にして、より角度を稼ぐことにする。

ヘッドセールを巻いてエンジンスタート。

機帆走で上れる角度をオーパイにセットする。それでも安良里には一本で入れない。最低ツータックは必要。

人間はワッチのみ。

風が上がってきた。波も悪い。うねりの方向と風波の方向が別々だ。

がんばって上ったが、結局土肥沖までしか上れなかった。タックして沖だし。

陸に返したが、回り岬の暗礁が怖いので、また沖出し。

今度は1本で安良里に入れるところまで沖だしする。

陸に近づいてからは風が弱まっている。でも上りなので強く感じる。これで下りだったら快適なのに。

港内に入ってセールダウン。

バースに戻る。母港のバース。安心はここにある。

ひとやすみしてから片付け。

大活躍だったジャックラインとジブシートは自宅に持って帰って洗う。持って帰って風呂場でぬるま湯でじっくり洗う。このジャックラインのおかげで安心してバウに行けるのだ。

昨日買って、結局食べなかったカップ麺を食べる。

テンダーがなかった。さすが連休だ。ケータイに電話して迎えにきてもらった。


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