3-JUN-1993

ナンパした女と三浦半島にマグロを喰いに行った。

俺はかっこつけて“ねぎとろ丼”の大盛を頼んだ。 大盛をワシワシ喰う男ってのはかっこいいじゃないか。 しかも女が残したらそれも喰ってやるつもりだ。 強い男、生命力あふれる男を演出するのだ。 そういう男を見ると女もプリミティブなところが刺激されて、 ポワーってなもんで、俺の言うことはなんでも聞く体制に突入するんじゃないかと 脳味噌足らない俺は思ったのだった。

しかし、俺は年齢とともに小食になってきているだった。 スケベ心がそれを忘れさせていたのだった。

大盛を70%くらい喰ったあたりで 俺はもう充分満足な腹加減になっていたのだった。 咲の家のねぎとろ丼の大盛はホントの大盛だ。

しかし大盛を頼んで、喰いきれずに残すことほどみっともないことはない。 俺はがんばって喰った。喰い終わったときは、なんだかしらんが
「ざまみろ」
という気分になった。

女はまだ全部喰いきっていなかった。 もし女が残したらそれも喰わねばならない。 できることなら女も残さず全部食べてほしかった。

女は「私もうお腹いっぱい」といって残してしまった。 俺は「じゃ俺が喰うからそれよこせ」と言って女の残したのを喰うことにした。 もうほんとにつらかったが女の残したのも全部喰った。 ったく「ざまみろ」だよこんちきしょーめ。


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