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中木港(復路)
日付 2002年9月22日(日)

天気 曇りのち雨
風向 北北東〜 風力 0〜6 波高 1.0〜1.5
行先 中木港
出港時刻 0530 帰港時刻(寄港)1015
乗員 2名


未明。まだ真っ暗だけど風が収まった。今だチャンスだ出港するか? それともこれはワナか。初めての港を夜明け前に出るのはどう考えても危険だ。ワナだと判断して、夜明けを待つ。

0400起床で、食事。

昨日たくさん食べたせいか、あまり食欲がなかったが、酔い止めを飲むためにパンを少しかじる。

0530日の出の時刻を待って出港準備。と、回りの船もエンジンかけだした。なんだみんな考えることは一緒か。

ライジャケとハーネスをつける。

まだ風が強いので、舫を外しに岸に移って、フネに戻るときに万が一戻れないと困る。フネ側の舫を外して出港することにする。あとでクルマで舫を回収にくるつもりだ。今日の潮加減のせいか、どうも岸壁の高さがよくない。

風が強いので、アンカーロープを回収するのに力がいる。重い。重い。

チェーンのとこまで回収したが、そこから先がどうにもこうにも上がってこない。

根掛りだ。この風のなか根掛り回復の操船をする自信がない。根掛りに意識が集中して、回りがおろそかになったときに、なにがおこるかわからない。初めての港でこの風だ。ワッチがおろそかになるのは恐い。

アンカー回収のメリットよりもリスクのほうが大きいと判断して、惜しいがアンカーとチェーンは捨てて行くことにする。機会があれば、潜って回収だ。

こんなことなら、夜中に走錨の心配などいらなかったな。

女房に港を微速で移動してもらいながら、回収できたものを片付ける。

港を出たら風がない。

あのポイントだけだったのか。強い風は。まさしくビル風だ。今日みたいな条件だとあまりいい泊地とはいえないな。

予報によれば松崎あたりは、1-2mの風のようだ。穏やかに帰れそうだ。

GPSのポイントからさらに余裕を取って沖に出る。

沖に出るとそこそこ吹いてるが、ガスティだ。

帆走したかと思うとラル。そして突風。やだなあ。

セールトリムが煩雑なのを嫌って、機帆走を決めこむ。

唐草の通常のフォーメーションは、舵が女房でデッキ作業が私だ。

行程も半分を超えて、雲見をかわしたあたりから、風が上がってきた。ワンポン入れたが、ますます風が上がってきた。局所的な寒冷前線の通過のような風だ。あたり一面白波だ。ツーポン入れる。

ジェノアを巻こうとしたが、ひっかかってうんともすんとも言わない。バウに行って直す。ファーリングの弱点だ。

バウに行くようなときは、ハーネスとジャックラインのありがたみが身にしみる。

ジェノアが小さくなってほっとした。これで走れる。

先代の唐草のメインはフルバテンだったが、今度のは違うのでシバーする音がうるさい。この音は乗員の恐怖をあおる。

ジェノアを直すのにかなり力を使ったので、ヘトヘトだ。

それにしても予報とだいぶ違うな。

松崎を超えて、堂ヶ島沖あたりでようやく風が落ちる。

どんどん落ちたので、エンジンかけてフルメインで機帆走。

田子島付近で、前方の海面が真っ黒になってきた。これはまた来るのか。それともあのへんはただの宇具須の吹き出しか。

念のためツーポン入れる。ジェノアは完全に巻いて、雑索で縛っておく。

白波を伴った黒い海面がどんどん近付いてきた。

突入。

ツーポン入れといてよかった。松崎沖では後手後手に回って、たいへんだったが、今回は先手を取れたのでとても楽。

それでも手もとで計った範囲では25ノットオーバーの風だ。

辛抱の航海だ。ばっしゃんばっしゃんとスプレーも浴びる。

安良里まで何度かタックしながら進む。これが風下航だったら、すごくいいんだけどなあ。波ないし。

安良里に近づいて、安良里港の灯台が見えるあたりで今日一番の突風を食らった。ブローが入って、メインシートを緩めてパワーを抜いたけど、それでも足らずにメインセールを完全にシバーさせた。なのにガンネルを洗うくらいフネは横倒しになった。これでエンジンがエアを噛んで止まったりしたら大変だ。そのときもし、セール上がってなかったら、座礁は確実だ。恐ろしい。

なにはなくともセールは大事。セールさえ上がっていれば、どうとでもなる。どんなときでもとにかくセールだ。風上にも行けるようにメインセールだ。

港に入ると風が落ちてきた。このすきに自分のバースに戻りたい。

セールダウンして、すかさず自分のバースをめざす。と、唐草のバースのに釣り人の手漕ぎボートが。人のバースでなにやってんだ。すぐにどかす。

風が収まっていたので、難なくバースに落ち着くことができた。

ほんとにやれやれだ。

ライジャケとハーネスを外して、セールのラッシングを確認してキャビンにもぐりこんで横になる。安全な母港の自分のバース。ホッとしてとろけてしまう。

15分くらい横になってから、片づけをはじめる。

女房はまだ寝てる。中木からほとんどずっと舵を持っていたから、疲れたんだろう。どうもありがとう。

疲れは残っているが、デッキ上の片づけを続ける。

小川さんのテンダーで岸壁まで乗せてもらって、テンダーを持ってくる。

女房が起きてきた。キャビン内の片づけをはじめる。

デッキの片づけを続ける。

一通り終わって、カップ麺で昼食。

おなかが満たされて、だいぶ落ち着いた。

食後はセティバースに横になって休む。ちょっと眠ったかな。

起きたら小雨がぱらついてきた。小川さんは味のある麦わら帽をかぶって釣りをしている。

女房も起きてきた。お茶を飲んで、一服してからチェックリストで最終確認をして離艇。

小雨のなか車に戻る。

さて、元気も戻ってきたので、中木に舫ロープとチェーンを回収に行くか。

意外と遠かった。約40キロあった。

中木も雨。でも無風。風さえなければいい港なんだけどなあ。

車の運転という日常の行為のせいか、疲れが取れてきた。意識がしっかりしてきたというべきか。さっきまでの疲労感は精神的なものが大きかったのか。

せせらぎの湯。

露天風呂に入っているときにも突風が来た。

なんということなしに上がって、塀の外を見たら家族連れのクルマがちょうど目の前に。中で女の人がこちらを指差している。誰だろう、と思ったら白井さんの奥さんだった。

白井さんのご主人とお風呂をご一緒する。

白井さんたちと話をしたらどんどん疲れが抜ける。話の通じる人と話すのがこんなに楽しいことだったのかと思う。マイサバイバルだったもんなあ。世間的にはどってことない天候だろうけど、我が艇にとってはサバイバルだったもんなあ。

白井さんから中木攻略方法をいろいろ教わる。鈴木さんとは2度中木に行ってるんだって。鈴木さんのフネだと恐いものなしだね。

その後やぶ誠で一緒に食事。楽しかった。最後に白井さんとこの長女の美帆ちゃんを抱っこさせてもらった。まだ1歳前。かわいいなあ。京子の小さいときのようだ。きっといい子に育つだろう。

伊豆中央道から熱函道路、ターンパイク。ターンパイクは快適に降りてこれた。道中風が強かった。

熱低が台風に変わっていたようだ。

2000自宅着。


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