中木港(往路)
先月、貨客船「蘇州号」で上海に行った。そのときの写真は <http://homepage.mac.com/nagamatu/PhotoAlbum15.html>
9月は家を6時前に出たほうがいいな。道が少し混んでた。 いつものコンビニで1泊ぶんの食料とワイン購入。約4,500円。宇久須のJOMOで軽油を10L。式根に行くなら20Lだが今日は中木にいくつもりなので、10L。 テンダーで唐草へ。 燃料はまだ2/3くらいあるので、買ってきた軽油は入れずに行くことに。 艤装して、テンダーを引いて給水岸壁へ。 テンダーを返して、給水。210円。氷も買う。210円。合計420円。 清水タンクを一度満タンにしてから、その水を全部捨てる。給水直後でタンクの中がかきまわされているので、その水流のすすぎ効果を期待する。出てきた水は茶色っぽい色だった。すすぎ正解。 清水は使い過ぎないようにフットポンプのほうがいいと思うのだが、こういうときは電動ポンプがありがたい。両方つけるのがいいのか。 再び満タンにして、清水用の20Lポリタンクも満タンに。2000年問題のときに自宅用に買ったものをフネに持ってきている。2000年問題。懐かしいね。 ほかに5Lの清水ポリタンも満タンに。これは先代の唐草で飲み水用に買ったものだ。 水はたっぷりだ。 港内でセールアップして出港。1003時。 出港してからおにぎりとお茶で朝食。 オートパイロット「ごごぞう」は今日から「やまだ君」に改名(名字を付加)された。これはエアラインパイロットが、機のオートパイロットを呼ぶときの慣習である。その由来を聞いてなるほどと思ったからだ。
「やまだ」と呼び捨てではなく、君付けしているのは、オーパイに人格を与えて、動作がおかしかったときに感じるこちら側の心理的な負荷を減らすためだそうだ。オーパイが不可解な動作をしてたときに、「機械のくせにこのやろう」、ではなくて「お。どうしたのかな? やまだ君」という反応のほうが好もしい。心に余裕も生まれると思う。 操縦という人間臭い動作をする機械には、人格的なものを与えるのはいいことだと思う。 動作不良という機械に対する感じ方ではなく、操縦ミスという人間的な感じ方か。 うまく言えない。 しかしながら、現代のハイテク旅客機の高性能なオートパイロットと単純なヘディング維持装置であるウチのオーパイでは能力が全然違う。せめて、GPSと連動して操舵しないと自動「操縦」装置とはいえないと思うが、ウチの「やまだ君」も一応オーパイの末席ということで。 オートパイロットがお手上げになったときに、人間がコントロールしなくてはならない。そういうときは、たいていシビアな状況である。オーパイを操作する人間の操船の腕は磨かなくてはならない。 ということは重々承知ではあるが、やまだ君に操縦をまかせて、女房と私は交代で横になって休む。航海にはリラックスも大事である。
中木は以前に下見に行ったことがある。この港の入り口は分かりにくい。 今回の航海ではチャートから拾ったポイントをGPSに入力してあるので、そのポイントに安全なアプローチ角度(私が選んだポイントの場合は120度以下で340度以上)になったらポイントへ向けて進むようにすれば大丈夫だ。それまではひたすら南下だ。 以前に中木にトライして引き返してきた三ツ石の先で、やはり風が上がってきた。そのときと同じく中木の方向から風が吹いてくる。でもこないだよりは風が弱い。 エンジンをかけて風上に向かってアプローチする。当然だがチャートに記載されているのと同じ岩があり、チャートと同じ形の海岸線になっている。それもこれも現在地がGPSによって明確だからよくわかる。 逆に地形からGPSが示す現在地の正確さも確認できる。 中木の入り江に入ったら風が止んだ。 中木港の手前の入り江の真ん中に岩があるので、それをどっちに避ければいいのか心配だったが、港への自然なコースを取ると右側を通ることになる。それで大丈夫だった。 入港してセールダウン。 外来艇が着ける場所には地元のフネと思われる遊漁船が1艇だけだった。横付けもできそうだったが、ここは槍付けする場所なので槍付けの準備をする。舵は女房にまかせる。 アンカーはブリターニを使う。 槍付けなので振れ回ることはないだろうから、面で支えるアンカーを使う。 係留ポイントの水深は約6m。満潮までにあと1m上がるとしても水深7mだ。6mmチェーンを4mと9mmチェーンを4mつなぐ。スコープは五倍はとりたいから狙った岸壁から6艇身くらい離れたところにアンカーを落とす。 アンカーレッコの際に大事なのはフネを微速前進させることだ。微速前進しながらレッコ。そうしないと、アンカーの上にチェーンが落ちてしまい、場合によっては、チェーンとアンカーが絡まる。 ありがたいことに今は風がない。 アンカーを落として、チェーンからロープに変わったところで、女房と舵を交代し、私がアンカーのラインを調整しながら舵と速度をコントロールする。 女房はバウに行って、舫ロープを1本持って岸壁に移る体制を整える。 アンカーロープをくり出しつつ、アンカーロープのテンションを調整しながらフネを減速させる。そして、アンカーの効きを確認するためにも、アンカーロープのテンションを一杯にして、いったん船足を止める。再び前進に入れて行き足を少しだけつけて岸壁にアプローチする。 女房が岸壁との距離をコールする。それを聞きながら、アンカーロープのテンションを調整して行き足をコントロールする。ロープはけっこう伸びるので、あらかじめそのことを考慮にいれておかないと、慌てることになる。ロープをペラに絡めるリスクがあるのでアスタンにはなるべく入れたくない。 女房が舫を持って、岸壁に移り手近なところに舫ロープをくくりつけた。私は、船尾からくり出したアンカーロープをクリートする。 緊張の操船だったが、これで一安心。 あとは落ち着いて、舫を調整したり、舫を2本に増やしたりする。舫ロープがコンクリートの岸壁で擦れそうなので、チェーンと併用する。
クリートしたアンカーロープの印は32mだった。チェーンと合わせると40mだ。水深と乾舷の高さを足して7mとすると、スコープは約6倍というところだ。チェーンの長さを考慮にいれてエイヤッと見積もると、すくなくとも風速25ノットくらいの風が吹き続けたとしても耐えられる。 スコープを長く取ったので、6Kgのフォールディングアンカーをアンカーモニターとして使い、他船の邪魔にならないように、アンカーロープを沈める。これによってロープの角度を小さくできるので、耐えられる風速が上がる。 テーブルを出して遅いランチ。 女房が中木の漁協に挨拶と探検がてら上陸。デジカメも持って行く。
風が北東なので、フネの後ろから吹いてくる。ちょっといやだな。吹き上がらないといいのだが。予報では今晩は北東が4mから5mくらいは吹くらしい。 女房が戻り、ランチのあと引き続きディナー。食べっぱなしだ。 夕食はパックのごはんにレトルトカレー。こんなのがフネで簡単に食べられる時代になったんだなあ。じみじみ思う。 薄暗くなってきたので、片づけてキャビンに入る。フネの後ろから吹いてくる風が心なしか強まった。 パジャマのズボンに履き替えてくつろぐ。 キャビンでマンガなど読む。 この場所は地形的にビル風のようなのが吹く。いやだなあ。 風はどんどん上がる。これはアンカーが心配だ。舫も心配だ。夜中にほぼ1時間おきにアンカーロープと舫をチェックした。岸よりの舫にチェーンを足して正解だな。 ハンディの風速計で計ったときの瞬間最大風速は22ノットだった。アンカーモニターで沈められているアンカーロープが、モニターごと上がってくるのが迫力である。いやな迫力だ。
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