唐草ひとくちメモ唐草文様というと風呂敷の模様のひとつとしてイメージする方がいらっしゃると思います。しかし、唐草文様の意匠の多彩さは風呂敷のそれだけではありません。
唐草文様とは、植物の茎や蔓(つる)が描く波状の連続文様のことです。また、唐草文様には、茎や蔓だけではなく、花や果実、動物などを絡めた文様もあります。英語ではarabesque(アラベスク)といいます。アラベスクには「アラビア風の意匠」という意味もありますので、英語圏の人にアラベスクと言っても「唐草文様」と理解してくれるかどうかはわかりません。 唐草の「唐」には中国渡来、あるいは外国渡来という意味があります。そうです。唐草文様は海外から渡ってきたのです。 この文様は紀元前13世紀頃のアッシリア時代に誕生したと考えられています。もちろんそれは、現在までに発見されている唐草文様の最古のもの、ということです。新しい発見があれば、起源はもっと遡るかもしれません。 この文様はやがて西アジアから地中海世界に広まり、紀元前6世紀頃の古代ギリシャで初めて渦を巻く蔓草状のパルメット(棗椰子(なつめやし))唐草文様が誕生します。 葡萄を絡めた葡萄唐草もギリシャ人が考えだしたと言われています。 さて、それから一々書くと誰も読んでくれなくなるくらいの様々な事情を経て、日本に渡ってきます。5、6世紀の古墳時代の頃です。 この文様は、着物の柄や刺繍、織物、螺鈿、彫り物等いろいろなところで使われましたが、庶民にの暮らしとは縁のないところで使われていました。貴族や武士、宗教関係の文様として使われていたのです。 そして江戸時代に入って染め付けの磁器の柄として描かれるようになりました。有名なところでは、古伊万里染め付けの唐草文様です。ことここにいたってようやく唐草文様は庶民の文様となったのです。
|