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チャーター初日。楽しい食事。

日付 1999年11月15日(月)

天気 風向 北より 風力 2〜4  波高 1.0〜1.5
行き先 Mahurangi Hbr
出港時刻 1300 錨泊地着 1900
乗員 4名


ニュージーランド時間の正午頃(以下時刻は4桁の数字で表す。午後1時半なら1330)ハーバーに到着した。このハーバーはオークランドから北に車で約1時間の距離にある。このチャーター会社のオーナーであり、スキッパーのLloyd Darroch氏(以下ロイ)が出迎えてくれた。

車から降りて、Lloydに“Brittany”まで案内してもらう。“Brittany”はジャヌーの42フィートの1本マストのヨットである。今年(1999年)3月に建造された新艇だ。


「Brittany」


キャビンを割り当てられ、荷物を積み込み、コックとして乗り込んでくれる彼の奥さんCatherine(愛称Kate。以下ケイト)に挨拶をする。

今回のクルーズは、NZ人夫妻と日本人夫婦(我々のこと)の2組の夫婦2人の航海となる。

ハーバーに着いてから嬉しい気分になっていたのだが、フネに乗り込み、キャビンで着替えをすませてコクピットに上がってきたら、さらに嬉しくなってきた。いい天気だ。申し分ない。

ロイにビールを手渡された。ニコニコしながらビールを飲む。今日はもうこのハーバーから出なくてもいい、っていうくらいハッピーな気分だった。

この近くにいい入り江があるので、そこでランチにしようということになった。着替えを済ませて、デッキに上がる。天気は快晴。風はほとんどなし。と、早速ビールが手渡される。いいねえ。実にいいねえ。

出港。

なかなか巨大なハーバーだ。大型艇も多い。まるでビルみたいなパワーボートもあった。メガヨットというやつか。

30分くらい機走して、目的の入り江へ。南半球は初夏。緑がきれい。緑と空の青さのコントラストが素晴らしい。

Okoromai Bayのポイントに到着し、フルチェーンのCQRアンカーをレッコ。もちろんウインドラスは電動。

コクピットを被うビミニトップの下でくつろぐ。コクピットテーブルに気の効いたテーブルクロスがかけられ、ワインとチーズとクラッカー、それにマッスルのスモーク(牡蠣の燻製のようなもの。美味しい)が供された。これらを楽しみながらランチを待つ。チーズはロイの会社のものだ。彼はBouton d'orというチーズ会社の社長なのだ。

静かな入り江にアンカリング。空は快晴。ビニミトップで作られた日陰。初夏の海風が心地よく肌をなでる。こういうところで楽しむワインとチーズは、実に美味い。ワインは若い普段着のワイン。

遠くでは、アメリカズカップのレースをやっている。アメリカズカップ艇の走りを見ながらランチを待つ。


沖でやってるアメリカズカップ予選レース


本日の対戦:

Team Dennis Conner vs.America True
AmericaOne vs.Prada Challenge
Le Defi BTT vs.Nippon Challenge
Young Australia vs.Spanish Challenge
Abracadabra 2000 vs.Young America

料理がコクピットに運ばれてきた。

大皿にハム、スモークサーモン、アボカド、チーズ(数種類)、トマト、マッシュルーム、サラダ菜等が乗っている。それを好きなパンに好きなだけ乗せて食べる。調味料も好きなものを好きなだけ使って自分好みに味付けする。


楽しいランチ。とても美味しい


このスタイルは自分のフネのランチにもいいね。まねしようと思う。熱を通すものがない、というのが素晴らしい。もちろん、飲み物はワインだ。脂っこい料理にはビールだけど、こういうさっぱりした料理にはワインのほうが合う。長旅で疲れた胃腸にも優しいメニューだ。

楽しいランチだった。女房も私も英語は得意ではないのだが、ロイとケイトの優しい言い回しと心遣いで言葉に不自由することはなかった。

ここで一生過ごしてもいい、と思うくらいくつろいだ。

ゆったりした気分の後はセーリングだ。風も上がってきている。いい感じの北風だ(北半球で言うこところの初夏の南風)。

抜錨して、今晩泊まる入り江に向かう。

フルメインフルジェノアで、時々ややオーバーパワーになるくらいの風だ。

抜錨してからずっと舵を持っていたのだが、時差と移動の疲れが出てきて、眠くなってきた。ロイに舵を替わってもらい、キャビンで横になる。女房は既にメインキャビンで先に横になって寝ている。ケイトはアフトキャビンで寝ている。起きているのはロイだけだ。すまん。

眼がさめたら、ピッチングとローリングがおさまっていた。ヒールもおさまっている。さすが42フィート。少々の波があっても全然揺れない。キャビンから出て、コクピットに上がる。

入り江についたようだ。セールダウンして、アンカリング。時刻はだいたい1930頃。まだ明るいが、だいぶ寒くなってきた。ここはMahurangi Hbrというハーバーだ。

もうすでにギャレーからはいい香りが。ケイトが今日のディナーを作っているところだ。

オーブンを使っているので、その熱でメインキャビン全体が暖まっている。メインキャビンでワインとチーズを楽しみながらディナーのできるのを待つ。

ディナーはラザニアとサラダだった。このサラダが逸品だった。ハーブとドレッシングがとても上手に使われていた。私が識別できたハーブはバジル(生)だけだったけど。ハーブはケイトが自分の農園(大きさの単位は一桁のエーカーだった。1エーカーは約0.4ヘクタールだから、4,000平方メートル、坪に直すと約1,200坪。これが例えば2.5エーカーだとすると1ヘクタール。1辺が100メートルの正方形である)で栽培しているんだそうだ。


楽しいディナー


ケイトの味付けは、サッパリした薄味だけど、ちゃんとメリハリがあって適度なパンチもある。美味しい。

シャワーを使わせてもらう。冷水だと思って覚悟して使っていたら、だんだんお湯になってきた。すごい。ヨットでお湯だ。水は貴重なので、チマチマしたシャワーだが、それでもお湯のシャワーを浴びれたのは嬉しい。

2200。パジャマを着て寝る。


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