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チャーター四日目。強い雨と風の中をクローズホールドで帰港。

日付 1999年11月18日(木)

天気 曇のち雨 風向 北より 風力 3〜7  波高 1.0〜2.5
行き先 Gulf Harbour
出港時刻 0845 帰港時刻 1200
乗員 4名


契約時間は今日の正午までだ。ロイは多少遅れてもいいと言ってくれたが、正午までにハーバーに戻れるように、今日は早起き。

天気予報では、今日は雨。しかも風が強いらしい。でも注意報は出てないので、吹き上がるということはないだろうとのこと。

最後の朝食。シリアルにフルーツヨーグルトをかけて、その上にミルクをかける。それと果物。紅茶。

いまにも雨が降りそう。

カッパを借りて着る。カッパズボンも穿く。女房は日本から自分のトラウザースを持ってきている。女房は小柄なので、フネに用意されているものでは、サイズが合わないだろうということで、自分のを持ってきているのだ。

ロイはムストーのカッパだ。頼もしい。私も自分のムストーを持ってこればよかった。そのムストーは南極[1]にも行ったムストーなのだ。

[1]:南極に行った話は「南極的な話」にあります。


さあ出港。海はまだ穏やかだけど、
これからのことを考えてちょっと緊張ぎみ


0845出港。セールアップ。ブームにファーリングするメインなので、明確なリーフポイントというのはない。アナログリーフか。だいたいワンポンくらいにして、ジェノアはオーバーラップがないくらいまで出す。

風と波はランギトト島が遮ってくれているおかげで、海が比較的穏やかなので、ワンポンセールはアンダーパワーだ。


ケイトは時間があると編み物を始める。
この4日間でだいぶ編み上がってきている。


島を回って南を向けると、容赦なく吹き付けてきた。雨も強くなってきた。オークランドの街がかすんでいる。

ロイのナビゲーションに従って進む。

岸が雨に煙っているのでバウを向ける目標に困る。

初めのうちは、ラットに慣れていないので、ウエザーを感じるのが遅かった。そのため当てる舵が遅れて、当て舵の量も大きくなっていた。その後だんだん慣れてきて、そんなにラットを動かさなくても舵を当てられるようになった。ググッとウエザーを感じたら(というか感じるのを察したら)すぐに舵を当てれば、ラットを動かす量は小さくなる。乗り心地もよくなるし、ヘルムスマンも疲れない。

風も上がって、波が大きくなってきた。真風速で28ノットくらい。クローズホールドで走っているので、アパレントは30ノットをオーバーしている。

スターボードで岸に向けて進む。

波も大きくなってきた。

女房が船酔いでダウンした。キャビンに入ってマグロとなる。すまぬ。

ロイとケイトはドジャーの下に避難。私は雨に叩かれ、風に吹かれてラットを握っている。幸いなことに今日は信頼できるナビゲーションを期待できるので、操船だけに集中できる。こういう天候で操船の練習ができるのはありがたい。

女房と二人で乗っていて、女房がダウンすると、操船とナビゲーションの両方を一人でしなければならなくなる。こういう天候でも操船のほうを気楽にできるようなスキルを身につけたいものだ。 フネが大きいのでパンチングも迫力がある。湾内なので、波がいろんな方向からくる。いろんなサイズで。波高は最大で3メートルくらいだったような気がする。自分のフネじゃないので、波高の見立てはいまいち正しくないと思う。

寒い。雨が冷たい。でも堪えられないほどではない。手が冷たいけど、これもなんとか大丈夫。真冬に東京湾でディンギーに乗ってた頃よりは、暖かい。

ロイのそろそろタックという指示でタックする。

ポートに返して沖出しだ。と、そのはるか前方にアメリカズカップ艇が。あれ、今日はレースやるのか。向こうもたいへんだろうな、と思うが、スピンランは気持ちいいだろうなあ、と思う。

あとで調べたこの日の対戦は、以下の通り。ニッチャレとアメリカTRUEが死闘をくりひろげて、陸上の審問になった日だ。

AmericaOne vs.Young Australia
Prada Challenge vs.Le Defi BTT
America True vs.Nippon Challenge
Spanish Challenge vs.FAST 2000
Young America vs.Team Dennis Conner

ポートに返して、バッシャンバッシャン進む。回りにプレジャーヨットは見当たらない。視界が悪いのと、平日のせいだろう。

二代目の唐草もそうなのだが、このフネも多少の風の振れがあっても失速しない。クルージング艇というのはそういうものなのか。でもさすがにオーバートリムになるような時は(セールは固定なので、動かすのは舵)ウエザーが大きくなる。ジャストトリムだとホントにラクに走れる。そしてジャストトリムの幅が広い。ピークが緩やかというか。

再びロイのタックの指示でスタボーに返す。

ハーバーのある半島はかなりはっきり見えてきた。風もこころなしか落ちてきた。落ちてきたといっても、アパレントで20ノットはある。このぐらいだと物足りなく感じる。

これが体験というものだ。30ノットを知らなければ、35ノットも40ノットもいっしょだ。しかし、35ノットを知れば、35ノットと30ノットの違いが分かる。こうやって少しづつ強風の領域を広げていくのは大事なことだ。ディンギーで練習しているときにこれはホントに感じた。その風速を体験した領域だと、そのしんどさと楽しさがわかる。知らないものに対して不安をいだき恐怖を感じるものなのだ。

半島に遮られて波も穏やかになってきた。

ハーバーが近付くころは、波も風も穏やかになり、雨も小降りになった。

ハーバーから出ていくパイロットハウス艇があった。いいね。こういう天気のときは。ロイは、次のフネはパイロットハウス付きで、キャビンで操船できるのにすると言っていた。パイロットハウスの弱点であるフロントウインドウはポリカーボネイトにすれば、安心だって言ってた。そしてそのフネでもチャーター稼業をするらしい。完成したら是非乗りにきたいと思う。

ハーバーに入る直前でエンジンをかけて、セールダウン。

ハーバーの水路までは私が舵を取ったが、その先からはロイに代わってもらった。

1200ハーバー着。

ハーバーに着いて、カッパを脱いでシャワーを浴びた。お湯が気持ちいい。手が相当冷たくなっていて、身体にはちょうどいい温度のお湯を熱く感じた。

着替えてランチをごちそうになる。うまいなあ。

パッキングして部屋を片付ける。

精算。

ロイがハイヤーを呼んでくれた。

その間にハーバー見物。ロイが持っているジャヌーの44フィート「Bouton d'or」を見せてもらった。今回チャーターした「Brittany」はモダンで、「Bouton d'or」はシックな感じ。

迎えが着てロイ達と別れる前に、ドライバーに集合写真を取ってもらった。


この4人でクルージングしてきました


いよいよお別れだ。

3泊4日もずっと一緒にいたんだけど、すごく楽しかった。狭いところにすっと一緒にいると、煮詰まったりするもんだけど、そんなことはなかった。これはロイのいろんな経験と人物によるものだと思う。とても感謝しています。

ほんとうにありがとう。


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