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貞山堀(木曳堀)往き:阿武隈川(納屋)〜 名取川(閖上)


早朝。係留中の我らが和船

0520時、貞山堀の阿武隈川水門付近から出航。

圭介が作った「貞山堀大冒険」と墨痕鮮やかに書かれた旗を立てて進む。

早朝の無風。

出航直後に阿武隈川水門を振り返ったところ

5月とはいえ早朝の川面を渡る風は冷たい。カッパを着てちょうどくらい。手袋が欲しいほどではない。

阿武隈川から仙台空港あたりまでは、ほとんど人工物がなく、信じられないことに川岸にもゴミがひとつも無い。川岸といば、ペットボトルやスーバーの袋などが落ちているのがあたりまえなのに。

静かできれいな川を旗を立てて進む

岸辺には所々に松が植えてある。

風情だ。

うーん。いい感じ

引き潮なので、我々の向かう名取川に向かって水が流れている。海で言うところの連れ潮だ。川で言うなら川下り状態だ。ほとんどスロットルを開けなくても速度が4ノットから5ノット程度だ。キロに直すと8キロくらい。歩く早さの倍くらいか。

朝日に照らされた葦原。枯れた茶色い葦原だが、根元からは新芽が出ている。

朝日に照らされた葦原(その1)

朝日に照らされた葦原(その2)

橋をいくつか越えて仙台空港に近づく。人工物が増えてきた。護岸もしっかりしてきた。

仙台空港を越えたあたりで、ボート部がダブルスカルの練習をしていた。

遠くに見えるのがダブルスカルの練習

岸辺の桜の花びらが散る中を進む。花びらは川面に浮かび水の流れを教えてくれる。

やがて今航海のナビゲーション的な最大の難所、広浦に入る。広浦はその名の通りとても広い水面だ。そのなかから貞山堀の分岐を見つけて進まなくてならない。しかも、そのあたりの水深が浅くなっているので航行に注意が必要な場所だ。

広浦の水面

今回使っている地図はパソコンの地図から必要な箇所をプリントしている。7万分の1と2万5千分の1の地図を用意した。海図ではないので、水深の記述はない。

地形を確認しながら、分岐を越える。

広浦の分岐。川の真ん中あたりにささっている竿に注目

時間的には、まだ潮が満ちているので、それほど気を使うところはなかったが、ところどころに立っている竹竿が航路を示しているのだと思う。しかし意味がわからない。潮が引いたらなんかあるぞ、ということしか今はわからない。

分岐に入ると船外機の和船がいくつも浮かんでいた。川漁師のものだと思う。

たくさんの和船が係留している

名取川の手前で船を係船し、トイレ休憩。

トイレ休憩を終え、再び舟を出す。

まだ朝早いので風もおだやかだ。今日は天気がいいので、昼くらいになると風が上がってくると思う。

ここから水門をくぐって、操船上の難所、名取川に出る。

阿武隈川からこの名取川までは、貞山堀の中でも木曳堀と呼ばれる部分だ。貞山堀の中では最も古い時代に掘られた箇所だ。この堀は昔、阿武隈川の中流域から木を切って筏にして運び、海に出る前にこの木曳堀を通って、名取川に出、そこから仙台に木を運んでいたと言われている。1601年に完成したというから関ヶ原の戦いの翌年だ。もちろんその後何度か改修されて今の形になっている。とはいえ歴史的な風情を感じる堀である。


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