日付が変わったあたりから、風が後ろに回ってきた。波のあたりが楽になってきた。船足も上がった、コンスタントに6ノット台。 那智勝浦に近づく頃に日の出を迎える。 灯台の灯りが回りの明るさに滲んでいく。 0600那智勝浦港入港。0630係留完了。琴塚から130.83海里。約23時間。平均5.7ノット。 紀伊勝浦に寄港の目的は、補給と乗員の休養(入浴)だ。
Sさんは今月3度目の紀伊勝浦だそうだ。今年3度目ではない。「今月」3度目だ。すごい。もちろんすべてヨットで。さすがベテラン。 みんなでとりあえず仮眠。
バナナを食べて、0830ホテル浦島に風呂に入りに行く。ここには無料の渡し船で行く。 有名な温泉「忘帰洞」に入る。天然洞窟を利用した温泉だ。今は近代的になってしまっているが、大昔の「忘帰洞」はもっと雰囲気あったんだろうなあ。 それにしても、ホテル浦島のような巨大で団体客相手のホテルが成り立っているのはたいしたものだ。熱海はそれで寂れてしまった。ホテルの営業力の差か。
0930時フネに戻る。 Sさんが給油手配。港にはフネに給油を専門とする燃料屋がある。店舗は普通のビルの1室で、給油はタンクローリーがフネまで行って行なう。狭いところに入れるように、軽トラ改造のタンクローリーもある。 唐草への給油は、ポリタン1.5缶。25L。これで現在の燃料残は75L。 Sさんは街に出て喫茶店で文庫を読みながらコーヒーとモーニング(仕事してたのかも)。Nさんは原稿書き。私はギョニソでビールの後昼寝。
1150時、TVで天気予報を見る。梅雨前線がうまいことちょっと下がってくれた。明日も天気が持ちそう。でも明後日の午後の安良里が怪しい。 梅雨の最中なのに、ここまで一度も雨に降られてない。うまいこと梅雨の晴れ間に当たった。唐草は運のいいフネだ。ありがたいことだ。 ここまで来ると欲が出る。雨が降る前に安良里のバースに入れたい。明日は早めの出航を提案する。 1230時、3人で食事に。 店のおばちゃんが店番しながらネット株取引をやっている店だった。 Nさんと私がクジラ丼、Sさんはマグロ丼。それとさんま寿司。生ビール。このさんま寿司は、ばってらのような寿司。東京あたりで秋に食べるさんまの握り寿司とは全くの別もの。うまし。クジラ丼は往復では食べたくないような味。まぐろ丼のほうが正解かな。
1315頃、店を出て私一人で女房を迎えに紀伊勝浦駅へ。ここから女房が合流する。 天候次第ではツーオーバーナイトで安良里を目指す可能性もあったし、なんらかのトラブルで紀伊勝浦以外の港に入る可能性もあったので、昨日の深夜、予定どおりという見通しがたったところで女房に連絡した。女房は朝の新幹線で名古屋に行き、そこで特急スーパー南紀に乗り換えてやって来る。 駅で女房を迎えて、一緒にフネに戻るが、干潮のため岸壁が高くなっている。 この高さでは、一度フネにおりると、岸壁に上がれないと思われるので、女房はフネに降りずに私と一緒に浦島に温泉に入りに行く。 Nさんはチャートテーブルで原稿書き。Sさんはセティバースに横になって文庫本を読んでいる。 我々は渡し船でホテル浦島に渡る。 朝入ったときの半券と手ぬぐいを見せたら、私のぶんはタダだった。よかった。日帰り入浴1回千円なので、これはうれしい。女房は普通に千円払って入った。 忘帰洞は朝と男女の風呂が変わっていた。おかげで私は忘帰洞の両方の風呂に入れた。 山頂までエスカレータで上がる展望露天風呂も行ったが、こちらそれほどでもないし、団体がいたのであまりいい感じではなかった。忘帰洞だけ入浴可能で500円というのがあれば嬉しいのだが。 帰ってきたときには潮も満ちて、フネに乗り移りやすくなっていた。
1830時台湾料理屋で夕食。美味い。 2030就寝。
船内の各自の陣地の割当: バウバースに女房と我が家の荷物。 パイロットバースに食料とSさんの荷物。 セティバースがSさんのベッド。 反対舷のセティバースが私のベッド。 クォーターバースとチャートテーブルにNさんと荷物。 これで船内いっぱい。人数が多いので、意外と食料がかさばる。
|