日付が変わった。 天気は完全に曇りだ。天の川はもう見えない。 御前崎の近くの御前岩(ごぜんいわ)の2マイル沖にウェイポイントを置いている。御前崎の灯台は視認できたが、御前岩の灯がなかなか見えない。 GPSで設定したラインよりも沖よりを通っているので問題はないはずだが視認したい。
夜間航海では、他船の航海灯を頼りに位置関係を把握しながら航海する。 他船の向きは、航海灯によって分かるようになっている。そのため他船の動向が灯火の見え方として理解できるのでワッチは昼よりも楽かもしれない。とはいえ、夜のワッチは緊張する。 御前岩をかわす手前でワッチ交代。 次の私のワッチではもう駿河湾内のはずだ。メンバーの中で駿河湾に明るい私は通しでワッチするつもりだ。なので、これが最後のワッチオフだ。
最後のワッチオフが終わり、コクピットに上がった。見えるものは360度水平線だ。陸地はなにも見えない。まわりは明るくなってきたが、水平線付近から乳白色になって何も見えない。伊豆の山並みが見えない。安良里までは、まだ20マイルを切ったあたりなので、見えなくても不思議ではないのだが。
しばらくしてようやくぼんやりと堂ヶ島の高島、中ノ島が見えた。やった。これで位置の確認ができた。霧で最悪のことを考えていたのだが、これで安心だ。GPSのコース通りだった。GPSは偉いな。 しばらくして、田子の尊之島が見えてきた。田子島の灯台を期待していたが、田子島が見えたときにはもうだいぶ明るくなってからだったので田子島の灯火は確認できなかった。
SさんとNさんに唐草を係留するための岸壁を指示し、私は漁協前で降ろしてもらって、SさんとNさんの乗るバスの時刻を確認するためにバス停へ。こんな時間から中高生がバス停にいた。部活の朝練か。 バス時刻を覚えきれないので、ケータイに打ち込んで女房にメールする。 その後テンダーを取りにいく。トイレその他で行ったり来たりがあるとおもい、1杯横抱きにして2杯持って行く。今日は金曜だし、来てる人も少ないだろう。 戻ったらSさんがスパゲティを作っていた。ごちそうになる。これからやらなきゃならないことがいっぱいであまり味わうことができなかった。
燃料の消費が多い、と思ったら燃料漏れだったみたい。エンジン下のビルジ溜まりに約20L漏れていた。それを吸い上げ、ウェスでキレイにして、チェックしたら、プライミングポンプから漏れているというSさんの見立て。これはアセンブリごと交換になるが、請求書は岡崎造船にまわしてくれとのこと。本社の指示をあおぐことなく、現場でそのようなことが言えるというのがかっこいい。 本来なら中古艇は現状渡しなのだが、ここまで面倒みてくれるとは。ありがたいことだ。 Sさんは航海灯もチェック、修理してくれた。緑灯が点灯が怪しくなっていたのだ。 NさんはAISを外して荷造り。その他電子機器をパッキングして宅急便で送れるようにしておく。 Sさんの長靴と琴塚ヨットクラブから借りた鍋と岡崎造船から借りたチャートも宅急便で送ることに。私が回航のためあらかじめ送った鍋はちょっと小さかったので、回航で使った鍋はSさんが出航前にクラブから借りてきたのだ。
日本酒も残っているし、せっかくなので、4人で安全に航海できたことを感謝することにする。初乗りの義と同じように、お酒を一口飲んで、残りの半分をフネにかけて、残りを海に撒き、海とフネに感謝する。Sさんは舵にもお酒をかけた。なるほど。次からは私もそうしよう。それとエンジンと。
0900時岸壁まで2人をテンダーで送って行く。0908時2人を見送る。0912時の修善寺行きのバスに間にあったと思う。
漁協に電話して、今日から新しいフネになったことを知らせ、船検票を持って行くことに。 安良里でやりたい追加工事と相談したいこともあるので、ケーンボートの石井さんに電話したら、来てくれることに。 1000時漁協に挨拶と船検票。 1030時しんぎょれんで保険の話。 石井さんは1300時頃来るとのことだったけど、早めにくるとケータイに伝言あり。 焼酎水割り。飲んで待つ。 1130時くらいに石井さん到着。 オーニングやらソーラーやらいろいろ相談。エンジンはやはりSさんの見立てと同じ。 レーダーアーチも欲しかったが、スタンションと一体じゃないと美しくないのを納得。といって逆U字でも30万くらいだって。無理だ。予算オーバーだ。 相談した工事の見積もりをお願いする。 1230時石井さん帰る。 静養荘を予約。 1600時頃女房がが小豆島のカップそうめん、私が出前一丁の夕食。 1700時前に静養荘チェックイン。 1800時に風呂入って、1900時ビール飲んで寝る。 1週間ぶりの動かない寝床。 明日は進水式だ。
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