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ドジャーは快適(付録:GPS考)

日付 2006年11月22日(水)

天気 曇り
風向 北より 風力 0〜1 波高
行先 係留のみ
出港時刻 --:-- 帰港時刻(寄港)--:--
乗員 2名


2245時フネ着。


明日の木曜日は勤労感謝の日。金曜日は2人とも休暇を取ったので、我々唐草乗組員は4連休だ。

食事は、来る途中に済ませてきた。フネに着いても特に何もすることはない。

寝袋にもぐりこみ、すぐ眠りにおちた。







日付 2006年11月23日(木)

天気 曇りのち雨
風向 南より〜北寄り 風力 0〜1 波高
行先 係留のみ
出港時刻 --:-- 帰港時刻(寄港)--:--
乗員 2名


今日は天気が悪くなるので出港しない。


0700時頃起床。

テンダーでポリタンに水を汲みにゆく。この水は食器洗いに使う。

フネに戻って朝食。

朝食後係留中のブームの固定方法を変えた。

いままではメインシートともう一つ別なテークルを使って係留中のブームを固定していたのだが、メインシートとメインのブロックは、紫外線保護のために毎回片付けることにした。下の写真は新方式のブームの固定方法である。

保管中のブーム固定(ブーム側)

保管中のブーム固定(ハル側)

毎週末乗るとしても、メインシートとブロックを正しい目的で利用するのは、週に2日だ。残りの5日はブームの固定だけに使われている。本来、メインシートは係留中には不要なものである。

いままでは、ブームとスタンションの根元を小型のブームバングのようなテークルで結んで、メインシートとそ雑索とトッピングリフトでブームが動かないように固定していた。

これからは、メインシートとブロックを外して、テークルをもうひとつ使って固定する。新しいテークルは、レーザーのブームバング用の艤装を流用した。これで左右のテークルとトッピングリフトでブームを固定する。


その間女房はナベの準備。

雨が降ってきたので作業をやめてキャビンに入る。

まだ昼前だが、チゲ鍋で一杯。

チゲ鍋準備中

先日、フネ専用のナベを買った。いままではナベのたびに土鍋をもってきていたが、これからはこのナベをフネ専用としてフネに置いておく。土鍋だと扱いに気を使うので、ステンレスのにした。

飲み物は最近気に入っている甲州種の白ワインである。今回飲んだのはとてもさっぱりしていた。甲州種はくどくないのが気に入っているのだが、今回のはちょっとさっぱりしすぎかな。

白ワインが空いたので、次はホッピーにする。ホッピーに慣れると普通のビールの苦みが強く感じるようになる。ホッピーの味をビールで例えるなら、オーストラリアのXXXX(フォーエックス)に似ている。

ホッピー

我が家ではホッピーをケース買いしている。白ワインもホッピーも氷を入れずにキンキンに冷やして飲むのが好きだ。フネでは高性能のクーラーボックスが大活躍。

ホッピー用の焼酎は500ccのペットボトルに詰め替えて持ってきた。銘柄は「大五郎」。この大五郎の4Lのペットボトルは、空になってからも活躍する。

空になった大五郎のペットボトルは、ウチから飲み水を持って来るのに丁度いい大きさなのだ。2人で2泊3日なら飲み水は4Lで丁度。大五郎のラベルはキレイにはがれるようになっていて、そういうところも好感だ。

それにしてもフネでやる鍋は美味しく感じる。水の上に浮かんでいる非日常と、それに伴う不自由さがそう感じるのかもしれない。

だいぶ食べて飲んだ。お腹いっぱいで、ほどよい酔い加減。

バウバースで昼寝。

女房はメインキャビンで雑誌を読んでいる。

暗くなって寒くなってきた。晩秋だ。いい季節だ。

寝袋にくるまって寝る。

なんと豊かな休日よ。







日付 2006年11月24日(金)

天気 晴れ時々薄曇り
風向 東北東〜北北東 風力 1〜5 波高 0.5〜2.0
行先 清水港(折戸マリーナ)
出港時刻 09:00 帰港時刻(寄港)13:45
乗員 2名


前日は、午後から雨が降ってきたので、鍋をやって寝てしまったが、今日は午前中から晴れて来た。とりあえず艤装して出港だ。

安良里を出てまもない景色

冬の駿河湾は、雨の翌日は西風が強く吹く。低気圧が東に移動して、西高東低の気圧配置が形作られるからだ。

しかし今日は北東の風だ。まだ冬の季節風のパターンにはなっていないようだ。それでもそこそこ吹いていた。下の画像はフルセールだが、すぐにワンポン(縮帆)入れた。

最初はフルセール

そんなわけで、いろいろ試してみたい装備もあったし、このくらい吹いていれば予想外のいろんなものを試すことにもなるだろうし。女房も行きたいというので、駿河湾を渡って清水港の折戸マリーナに行くことにした。

清水港まで16マイル。テスト航海にはちょうどいい。距離だけじゃなくて、今日はテスト航海向けの天候だし。10ノットオーバーで20ノット未満の風。うねりはない。まさにセーリング日和。

駿河湾の真ん中あたりで折戸マリーナに連絡

マリーナに予約して行けば、必ず安全に係留できるし、水とシャワーも使える。もし船体になにか致命的なトラブルが発生したとしても、マリーナに船を預けて陸路で帰ってくることも可能だ(それなりの係留料はかかるが)。

清水港が近づいてきた

清水港
本船、タグボート、ガントリークレーン、そして富士山

自然豊かな安良里から清水港のような工業港に行ってもあまり面白くない(逆に清水の都会から西伊豆の鄙びたところへのクルージングは楽しいと思う)のだが、風景を楽しむ航海ではなく、ちょっとしたテストや訓練には丁度いい距離だし海况だ。

マリーナ到着







日付 2006年11月25日(土)

天気 晴れ
風向 北北東〜東 風力 5〜0 波高 2.0〜0.5
行先 清水港(折戸マリーナ)より帰港
出港時刻 09:00 帰港時刻(寄港)13:25
乗員 2名


朝日を浴びる

朝日を浴びる

朝日を浴びる

出港準備を完了したので、マリーナに挨拶に行ってくる。

0900時、解纜。

前日よりも風が上がっている。

マリーナ沖で係留策を片付け、フェンダーを片付け、メインセールを上げて、ワンポン入れる。

マリーナ沖から、清水港内に進むと、風がさらに上がってきた。

ツーポン入れた。

ツーポン

ツーポン

三代目唐草、初めてツーポンの帆走だ。

これもテストしたかったことなので、風速アップはありがたい。文句ない。

風速は7-8m/sくらい。ブローで12-3m/sだと思う。あまりガステイではなく比較的コンスタントに10m/s未満の風が吹いていた。測ったわけではないので、カンです。

清水港出たところ

清水港出たところ

駿河湾と富士山

セールを新調するときに、ワンポンもツーポンも標準よりセールが小さくなるようにしてもらったので、ツーポン入れればこの程度の風ではほんとになんの苦労もなく上れる。アンダーパワーなくらいだというのがわかった。もっと吹いてもツーポンで問題なさそう。

ギリギリの上りじゃなければ、かなり吹いてもツーポンで大丈夫そうだ。

風が北東くらいだったので、風の吹走距離が短く、波がそれほど成長しなかったので風速のわりには走りやすかったが、ドジャーを越えてコクピットの後部を濡らすほどの波もかぶった。

ドジャー下にいた我々は全く濡れなかった。

ドジャーの中にいれば、風に曝されないので、疲労も少なかった。ドジャーのありがたみを実感した。強い風に長時間曝されるとなにもしなくても疲れる。

せっかくつけたドジャーなので、ドジャーが効果的な海况で使ってみたいと思っていた。その思いがかなった。RPGで新しい防具を買うと試したくなる気持ちと一緒だ。

最近では多くの船にドジャーが付いてるのも納得である。

ドジャー越しの景色

この船になってから、このくらいの風でちゃんと走ったのは初めてだった。リベッチオもいい船だったが、ひとまわり大きくなって重くなったぶんだけ乗り心地が確実に良くなっているのを感じた。乗員にストレスもかからない。このくらい吹いたほうが艇速をコンスタントに確保できて、かえって楽しいくらいだ。

乗り心地は大事だ。疲労と密接に関係している。疲労が少ない、ということは乗員の安全につながる。

乗員の乗り心地よりも、帆走性能重視の外洋レースはまさにアスリート達の世界だ。外洋レース艇の世界一周と、クルージング艇で季節を選んであちこちに寄りながらの世界一周では、クルーに要求される体力は、国際的なマラソンレースの上位入賞者と中高年の低山ハイキングくらいの差があると思う。

伊豆半島が近づいてきた

さておき、東寄りの風だったので、伊豆半島に近づくと山の影響で風がなくなった。

伊豆半島に近づいた頃の富士山

帰港するころにはほとんど無風。フルセールに戻した。

フルセール

安良里港にアプローチ中

伊豆半島側は穏やかなお天気

私のムストー社製のカッパは下の写真の機能があるのだが、このスタイルが活躍するような状況では乗りたくはないと思うが、イザとなったら頼もしいカッパだ。普段はフードを襟元に収納し、襟は倒している。

私のカッパ

1325時バース着。清水港の折戸から安良里まで約4時間半。そのうち30分以上は清水港内。

解装して片付けて、お茶を飲んでひと休みして1600時離艇。

帰りにみそラーメンの「大関」に寄ったら閉まってた。残念。小田原の「味一」も休業中。どちらも美味いのだが、ラーメンを作ってるのが年寄りだ。私が生きてる間に店が閉まるだろう。




付録:GPS考

夏の出張のときも WestMarine でいろいろ買ってきたが、先月の出張でもまた買ってきた。前回は BLUE SEA 社製の配電盤とハーケン社製のメイン用のブロックが目的(BLUE SEA社もハーケン社も米国のメーカーなので、米国で買ったほうが安い)だったが、今回は GPS だ。

今回 GPS を買ったのは、今使っている GPS のバックアップのためだ。そのため、今使っているのと同型のガーミン社の GPS 76 ($179) を買おうと思っていた。ガーミン社も米国のメーカーなので、米国で買った方が安い。

しかし、サンノゼの WestMarine には GPS 76 の在庫がないということだった。注文すれば3日後に届くが、代わりに在庫のある上位機種 GPS Map 76 を安くするのでそちらを買わないかと言われた。$199 を $153.06(シリアルケーブル付き)。よし買った。

GPS 76
GPS Map 76

ちなみに GPS Map 76 の日本語版は 72,000円 である。$1=119円として約 $600 である。日本語版の値段は、英語版の約 4 倍である。驚きの価格差である。

とはいえ、英語版の GPS Map 76 には制限があって、日本語の海図(マップソース)を入れられない。フォント等の問題かもしれない。日本語版はウェイポイントに日本語を入力するために仮名漢字変換もできるのかもしれない。

私はハンディの GPS に海図情報は必要ないと考えているので(だから安いほうの GPS 76 を持ってるのだし、今回もそれを買おうと思っていたのだ)、そういう制限は問題にならない。

なぜなら GPS を使うときも紙の海図を併用しているからだ。紙の海図は、えんぴつで書き込みができるし、電力を必要としないし、ショックを与えても壊れない。素晴らしい。

それにしても英語版と日本語版の価格差約 5 万円以上。とてもじゃないが日本語版など買えない。私が GPS に求めているのは、基本的に緯度経度と方角、速度である。それと、それらを計算して表示する距離情報とルート情報である。全部数字だ。ウェイポイントの表記をローマ字でがまんできるなら、日本語は必要ない。

もし海図情報が欲しくなったら、日本近海を含むマップソース「パシフィック」が $216.65 で買える。地名はローマ字表記だが。


今回の折戸行きの航海には、いままで使ってた GPS 76 のウェイポイントを新しく買った GPS Map 76 にコピーして使った。

具体的には、いったん全てのウェイポイントを Mac にアップロードして、それを新しいほうにダウンロードした。私は Mac を使っているのだが、Mac でもそのくらいのことはできるのだ。

GPS Map 76 はこの航海で問題なく使えた。よかったよかった。安物買いの銭失いにならずにすんだ。

これで、どちらかの GPS が壊れても安心だ。操作性は全く同じなので、操作方法を機種ごとに覚えなくてもいいし。


ハンディ GPS は 3 年くらいで壊れる、というのが私の印象だ。これまで使ったマゼラン社の GPS は 2 台買って 2 台ともそのくらい使ってから壊れた。たまたま私が買った個体の問題なのかもしれないが、1 台は液晶がつかなくなって、もう 1 台は衛星をひとつも補足しなくなった。

先月買った GPS Map 76 で4台目である。

将来的には私も海図情報の入った、GPS プロッターを使うようになるのかもしれないが、今は紙の海図とハンディの GPS だけで不自由は感じていない。

しかしながら、初めて使うウェイポイントはやや心配である。海図から座標を拾うときに間違わなかったか、座標入力を間違わなかったか心配なので地文航法と合わせて使う。そのかわり一度実際に使ったウェイポイントの数字には大きな信頼を寄せている。

GPS がなかったら長い航海(当艇比)には出るのは難しい。私がクルーザーを始めたころに低価格(今と比べれば高価だったが)のハンディの GPS が登場してきた。私のナビゲーションは GPS 世代のそれなのだ。

GPS は完動品が2台になったので安心だ。そのせいで物欲が GPS に向いていないというせいもあるが、GPSプロッターよりも風向風速計が欲しい。

現在は、海况を見て風速の見当をつけ、たまに風速を数字で確認したいときにハンディの風速計を使っている。

ハンディの風速計はコクピットで測ることになるので、海面と船体の影響を受けた風を測ることになる。マストトップのクリヤな風速を知りたい。

リーフ(縮帆)するタイミングを風速計の数値を元にしたいのだが、今は体感でやっている。曇ってると海况が荒れてるように感じるので、リーフのタイミングは早くなる。逆に晴天だと遅くなる。

船上の風には、見かけの風と真の風の2種類がある。体で感じているのは見かけの風である。これは船の移動のベクトルが加わった風だ。風上に向かっているときは、真の風よりも風速が増し、風向きは船首よりになる。

風速計に真の風を表示させるには、船の進行方向と速度の情報を与えて計算させる必要がある。それにはそのためのセンサーが別途必要だ。そして風速計とリンクしていなくてはならない。

私は見かけの風だけ分かればいいと思っているので、簡単なマストトップの風向風速計が欲しい。

ついでになぜ船上で真の風を知る必要があるかというと、レース艇の場合、真の風速と真の風向が分かることによってレース戦略/戦術が正確になるからである。真の風速と風向がわかれば、VMG (Verocity Made Good) も知ることができる(グランプリレーサーではVMGの計器も積んでいる)。艇速だけではなくて、風上に向かって直線で進んだとしたときの速度だって分かるのだ。それによって、レースのいろいろな状況下で、自分の船の最適な上り角度に対してどのような走らせ方をするか、という選択ができる。速度を犠牲にして角度を稼ぐのか、角度を犠牲にして速度を稼ぐのか。そのためのターゲットとなる艇速をきちんとした数字で知ることができる。シビアなレースになると、ヘルムスマンは速度に集中し、波とテルテールと速度計しか見てない。艇速に関する責任者だ。

どこを走るかを決めるのはタクティシャンだ。タクティシャンがコース取りに関する責任者となる。といってタクティシャンは、ただコースのことだけ考えていればいいのではない、マーク回航時などはウインチマンを補佐するだけの体力と機敏さや、デッキ上にトラブルが発生すれば、そこまで飛んで行って手伝わなくてはならない。デッキ上の便利屋でもある。

ヘルムスマンとタクティシャンを兼任すると艇速が遅くなってしまうと思う。それほどヘルムスマンは波と速度に集中力が要求されるポジションなのだ。

私が2人乗りのディンギーをやっていたときの役割分担は、相棒がヘルムスマンとメインセールトリマーで、私がヘッドセールトリマーでタクティシャンだった。

スキッパーはどのポジションの人でもかまわないが、艇とレースに関する最終責任者となる。


Raymarine社の ST40 シリーズの風向風速計は、センサーと液晶の表示部込みで $365。日本で買うと97,000円。

ST40 シリーズの風向風速計


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